楓は朝が苦手”でした”。起きるといつも眠くてそのまま布団の中に居たい。
そんなふうに思いながら中学・高校を卒業し、大学に入ってからもなおその傾向は変わりませんでした。
でも、朝が起きれないならそれでいい。そんな人は日本中にたくさんいる。そんなふうに流していました。
ただ、後半学期が始まり記念すべき後半第一回の授業に遅刻してしまってから認識が変わりました。
此れを続けていては、卒業すら危うくなる可能性がある。そう思うと。
楓は何があろうと朝確実に起きることができる習慣を何がなんでも獲得しなくてはならなかったのです。
楓の剥がれ落ちた過去
今の楓と似つきもしない遠い昔のことをふと思い出しました。
小学生の頃。楓は朝起きられない人がいるということを信じられなかったのです。
夜寝てさえしまえば。朝起きることはそう難しいことでもないのです。
まだ未発達だったかつての自分は、9時には寝て、5~6時に起きていたことがありました。
あるときなど、学校に行く前に自転車で学校に行って戻ってきて。朝を食べたら、歩いて集団登校するなんて馬鹿らしいこともしていました。
つまり。成長して全く逆の生活に進んでいたのです。
なぜ人は夜起きるのか?
現代の日本では夜遅くまで起きて仕事をするというのが流行しています。ずっと前からです。
それは社会人だけではなくまだ未熟な子供にすら浸透しているのです。
ある統計によると、十代後半から二十代にかけて徐々に就寝時刻が遅くなっています。
そして土曜日の夜ふかしが特に多いのです。
二十代以降は徐々に早くなっていく傾向があるようですが、これは世代差による認識のちがいという可能性もあるということに留意は必要です。
楓は中学から今に至るまでずっと天文部員です。
夜間観測はまさに本業。徹夜で星の写真を取るなどごくありふれた行動です。
その徹夜の歓びを、他の日にすら持ち込んでしまったのが朝起きられない原因です。
そして、周囲の人間は現代日本の徹夜ブームによる夜の歓びをすでに知っていた。
だから誰も止めず、どんどん夜遅くまで起きて何かをすることが習慣となったのです。
どういうわけか。人間は朝早く起きて何かをするよりも夜遅くまで起きて何かをするほうが楽しいようにできているようでした。
暁の光
いずれにしても起きなくてはならない。そう決意しました。
10/2
楓は夜。したかったことを全て放棄して、23時に布団に入りました。人によっては遅いかもしれませんが、夏休みに2時や3時に寝ていた楓にとってはかなり早いのです。
目覚ましを6時にセットして、5時にも同時にセットする。本命は5時です。もし5時に目覚ましにすら気が付かないほど熟睡していたのであれば、楓に6時間睡眠は短すぎたと判断できるからです。
これまでの悪しき習慣の影響でまるで眠れませんでした。
ふと寝返りを打って見えた時計の時刻は夜1時。此れはダメだと思いつつ布団の中でため息をつきました。
10/3
ところが、前日の悩みはどこへ行ったのか。目覚ましに起こされたのは朝5時。
太陽もまだ出ていない、オリオン座が綺麗に見える夜空が広がっていました。
ここ重要なのは、外に出て空を見たこと。目が覚めたではなく、起き上がったのです。
私は朝ごはんを食べるために炊飯器で米を炊きました。
今までは予約機能で起きてすぐ食べられるようにして保温の電気が無駄になっていたのですが、これで無駄なく朝を食べ、昼用のおにぎりも同時に作れました。
朝の大切さを再認識した瞬間でした。
其の日も、どうにかして11時には布団に入りました。朝早く起きたおかげか、比較的早く寝付くことができたのです。
10/4
また、朝5時に目を覚ましました。太陽はまだ出ていませんでした。
これから冬至に近づくに連れてどんどん太陽は出るのが遅くなるはずです。
しばらく、洗濯物を干したりチャーハンを作ったりして時間を潰していると、暁の空が美しかったという忘れていた事実を思い出し、楓は外の空を眺めました。
辺り一帯が紫に染まり、とても独自な雰囲気を醸し出していました。
暁、あけぼの、彼誰時、ブルーアワーなどと呼ばれるこの瞬間。長らく忘れていた景色でした。
其の日は込み入った事情があり23時に寝ることができませんでした。就寝時刻は1時。これは三日坊主になってしまうなと、感じました。
でも、逆算して目覚ましを7時にセットしました。
10/5
7時に目が覚めました。悪くはないでしょう。少なくとも寝坊するということだけは回避できています。
何がなんでも、今日は11時に寝て、明日は5時に起きなくてはならないとおもいつつ。この記事を書いています。